ガンパレード・オーケストラ初見雑感



GPO白

と、いうわけであと2〜3カ月でPS3も発売されようかという2006年初頭、我が家にPS2がやって参りました。悪名高い厚型が。そのインファマスどおりCD読みとりがマズめらしく、さっそくGPOでBGMがダブ調になる(音源の一部しか再生しない。高音部のみ、とかリズムのみ、とか)という楽しい不具合が。あと2〜3時間に1回読みとり失敗でフリーズする。


まぁ、ハードの愚痴はさておき、ソフトの愚痴を。けっきょく愚痴。

初期条件

  • 1周目。戦闘記録。竹内。12/15までプレイ。
  • 恋人/親友おらず。全員青/黄色ゲージ部分。
  • 戦闘5回ぐらい。突破作戦で1回大敗した以外は、全戦大勝利。戦況はたしか460くらいで「均衡」の上の方。

以下そのつもりで読んでね、というエクスキューズ。

UIが微妙

基本中の基本だけに、毎回ストレスが溜まるのは厳しい。
端的な例を挙げれば、食事系。

  1. 店員の前で○ボタン→
  2. 「店員に話しかける」選択○ボタン→
  3. 「アルバイトをする」/「食事する」/キャンセル選択○ボタン→
  4. バイト時間選択/メニュー/キャンセル選択○ボタン
  5. 各個メニューへ以下略

コレ「店員に話しかける」段階が選択肢として不要やん。

  1. 店員の前で○ボタン→
  2. バイト/食事選択画面
  3. 以下略

で1段ぶんユーザーのクリック数減らせるやん。こういうのが多々。
あとY/Nをはじめとして各種選択肢があがってくるまでに、いちいち一瞬読み込みの間があるのがつらい。コレは厚型やからかもしれんけど。
訓練に関しては後述。

友人/恋人をつくるメリットが見えにくい

前作では「仲良くなって戦闘コマンド/会話選択肢を獲得する」という動機付けがあった。今回は「友人/恋人になりたい」という動機付け1本しかない。プレイヤーの自主性に任せすぎている。
さらに、イベントフラグが分かりにくい、立ちにくいというのも問題ではないか。「○○の愛情を上げろ!」とかのミニイベントはあることはあるが、単発な空気。前作、特に1周目では芝村という強力なイベントメイカー、ストーリーの牽引者がいた。何も考えずにプレイしていたら、チュートリアルが終わった途端に熊本城攻防戦が普通だった*1。今回は、放っておいたら、最初に1週間ほとんどイベントは起こらないだろう。初心者はつらいと思う。

チュートリアルがない

初心者対策としての必要性はさておき。目先の目標としても必要だったのでは。再現画面キャプチャも出ない文字説明など、チュートリアルとは認められない。シミュレーター室のビデオは、クソだ。アレを全部読むヤツの気が知れない(読んだけど。ほとんど覚えてないけど)。

訓練=成長がつらい

選択肢型で前作のマッピング型と比べ自由度が低い。
その割に獲得条件が分かりにくい。つまり「成功条件があるよ」というのが明言されてない。結果失敗しやすい。
成功報酬が少ない。訓練は学園パートでの動機付けとして、プレイヤーにゲームを続ける気を出させるために重要なパートだ。初回で体力6時間訓練して、成長が6とか、泣きそうになった。前作とどうしても比べてしまうのだが、GPMでは能力値とその伸びが反比例になっていて、初期成長へのストレスを軽減していた。
あと能力の伸びがデフォルト設定の属性に縛られるのはどうか。たとえば「いたわり」系キャラを選択したら、運動力、あるいは技能では白兵などの訓練をしても失敗が多く、戦闘向きキャラをつくるのは困難。コレはゲームプレイ姿勢の根本にも関わることだが、なぜ「誰でもない」ではなく「誰か」としてゲームを演じねばならんのか。

戦闘がタルい

爽快感が極端に制限されている。FPS体裁なんだから照準合ったら当たれよ、とか思う。あと、単純に体感移動スピードが遅い。たぶんどれも、よりFPSをシミュレーション寄り(反射神経+知力)にしようとして「考える時間」を意図してのことなんだろうけど… その割には索敵範囲と視界システムを採用してるので、畢竟「うろうろ歩いて、敵を見つけたらドロドロの殴り合い」になりやすく、戦術的な工夫とかはやりにくい(挟撃とか、前作で言う「線が見える」とか)。
あと考えられるのは「プレーヤー性能の向上」による戦況の打破=プレイヤーがHEROであることの実感、の余地を確保するためにストレスフルなのかも、とか思う。このあたりは伝統とも言える。まだ戦闘5回なので判断保留かも。

戦争(軍隊)に参加してる実感が少ない

友軍の動きが無い。自分たちの動きだけではどうしようもない現実の可視化、というのが無い。隊員は死にやすいけど、攻め込まれてる感、というのが無い。
それにも増して上下関係が分かりにくい。というか、その演出がほぼ皆無。上官名前無いし。つまり軍隊組織としての見当識が不足。てゆーか小隊構成が9人て有り得ない*2分隊じゃん。クソリアリズムの不足

つまり、最終的にはテキストに説得力が不足している(本論)

前作は、学園ゲー+戦術シミュレーションというある意味で安易な、最もゲーム脳的とさえ言えるシステムを、圧倒的な現実主義的テキストで補完する、という点が唯一にして最大の魅力だった。
そう、ガンパレードの魅力とは、学園ゲー=青春(恋愛)という、半ば以上妄想に足を突っ込んだ理想が、戦術シミュレーション=戦争状況に起因する現実主義的言説によって覆い尽くされる様であり、そのゲームメーカーとして特異なアルファ=芝村の姿勢がプレーヤーの驚愕と共感を呼んだのではなかったか。そして、絶望的な状況下のある一点から、学園ゲーの戦術シミュレーションに対する大逆転が行われるというシカケこそが、切実なメッセージを伴って感動を呼んだのではなかったか。
つまり学園ゲームが戦術シミュレーションを超えうる、というメッセージ。
妄想が現実を、クソのような現実をより善き方向へ変えうる、というテーゼ。
それを産み出したのは、芝村一族の冷徹な言葉であり、坂上たちの戦術論であり、本田の軍隊精神論であり、そしてののみの語る「むかしでもいまでもないところ」という宣言に他ならない。


GPOにもどろう。戦力が圧倒的に不足している警護師団が幻獣の背面突破を受け止めねばならない、という状況はかなり絶望的(ひょっとすると熊本以上に)なハズなのに、その悲壮感は全く伝わってこない。戦況というクソのような現実が、「好きな人がなびいてくれない」という妄想パートの困難状況よりも弱い。これでは戦争と学園、という二項対立は成立し得ない。これは下手をすると、ただのサクラ大戦に成り下がる危険性だってはらんでいるのだ。


あとねー、いまいちチンコ立たない。ちょう主観的な話。いや、でもココとっかかりとして重要ですよ。学園恋愛ゲー+FPS*3という体裁をとっている以上、半分はソレなワケで。

いったんの主観的結論

おれに対する動機付けが微妙&微妙にストレスフル。
つまり、妄想+世界の謎ゲーになってるのか? ループの存在もセーブ画面で明示されちゃってるしなー。「世界の謎」=構造なんておれ的には付随お楽しみ要素に過ぎないワケで。おれはアルファのゲームに関しちゃテキストを、断片的な思想を期待し過ぎちゃってるのですよ。

以上愚痴

多分に趣味的な批判。反論は容易にできるので、受け付けません(笑)
読めば分かると思うけど、芝村思想&軍隊思想テキスト重視、戦術シミュレーション部重視、つまり絢爛舞踏一直線。キャラ萌え?ナニソレ喰えるの?ちう偏った視点のガンパレードゲーマーなので、偏ってます。
どうしても「20世紀ゲームの総決算」とまで言われた前作と比較してまうしね。
でも、とりあえず楽しーのは楽しい。


てなことをふまえ、Let's Play『ガンパレード・オーケストラ』!!!!
(c)玉吉

*1:これはこれで多少やりすぎだが

*2:これも、プレイヤビリティの向上(名前憶えらんねーよ!&世界の謎後出し)という観点からのこと、というのは理解できるのだが

*3:First Person Shooting Game。一人称視点シューティング。要するにDOOM、HALO