絲山秋子『ニート』を読み始める

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行きの電車で3編めまで読んだ。1編めは主人公(女性。デビューしたての小説家)が、1度寝たことのある知り合いのニートを生かすために金を貸す話。2編めは主人公(同一人物?)が友人の引っ越しを手伝ってある発見をする話。
つまり泣かせる系? ともかく小道具使い(ブランキーとかブログとかルームシェアとか)が非常に同時代的で簡単に共感できるけど、それってどうなんだろう。あと、ニートの彼のはブログじゃなく老舗のマイナーテキストサイトだと思った。なんとなく。
3編めはまたニートの話で、結局金が尽きた彼を、主人公が部屋に連れ込む話。性交は通貨じゃなくて、もっと無意味で非生産的なものだからしない、というのには共感したが、やっぱりこれも共感呼んでどうするのか、という気もする。
ただ、ルームシェアしてる同居人と主人公が冷戦状態にあって、置き手紙でしかやりとりしない、っつーのとその同居人がかなりイタげな人、というのが気になる。どうもカタストロフの予感が漂いはじめて、少し興奮する。
シガテラしかり、どうも「引き延ばされた悪意の予感」に惹きつけられてしまうようだ。とかかっこいい言葉で誤魔化してみても、そのセンスは「答えてちょーだい」と大した差はない。「おれはつくづく俗悪で、不幸の仮想が好きすぎる」。
<もっとホラーとか読めばいいのに。