「闇のカーニバル」81年/監督:山本政志
えー。開演が3時半。「眠気を覚ましにくるぜ!」と予告した山本監督も来ず(笑)疲労のピークでございます。
あらすじ
そんだけかい!
子連れの女性ロック歌手が、子供を男友達に預けて一晩を新宿の街で過ごす…
まぁ、そういう映画です。
これは果てしなくドキュメンタリーに近い劇映画。「80年の新宿の闇」が存分に描き出されている。暴力と薬と女に鬱々とおぼれる元天才ギタリスト、御苑にのたれ死ぬ男娼、シャブ漬けの女、黄金町の泥酔喧嘩、爆音のストーンズに踊り狂うクラブロッカーズ、カラスを捕まえて売るストリートチルドレン、テロをたくらむ旋盤工、密造ナンブをのんだノーブラ革ジャン女(主人公)……
そーゆーヘンな人たちが新宿の深夜〜早朝にかけてをうろうろする映画です。
ひたすらうろうろ。
80年代映画(を80年生まれが語ること)のやっかいさ
なんというか、ココでもやっぱり80年代というか。
あのですね。最初に主人公が子供をあやすシーンがあって、そこでいろいろおもちゃとかが出るんですが、すべておれが持って多ものなんですよ。オルセンの『つきのぼうや』とか、プラレールとか、イデオンのやたら直方体の超合金(いまヤフオクで7万!)とか
つまり、この主人公、ロックヴォーカリストにしてクールな、ティアドロップ型サングラスかけてノーブラTに革ジャンでオッサンとドツキあいしちゃうくらいクールなおねーさんが、おれの母親(と同じ歳)なんだ、と思っちゃうともーダメでした。冷静に観れません。なんか、アレですよ。母親の大学時代のテニス合宿写真とか見ちゃうとヘコむのと似てる、名状しがたいケツのむずがゆさに支配されちゃってもう。
そう、正直21世紀になっては「新宿」に対する幻想も消費され尽くされちゃった感があって(新宿鮫とか不夜城とか)、むしろ牧歌的に見えちゃう、というか。でも男娼の葬儀のシーンと、クラブで踊り狂うシーンは非常に美しかったです。ダンスと死だけは普遍的、というか。そうそう。やっぱり室井滋出てます。